2012年6月16日土曜日

神子原米

限界集落を救った「スーパー公務員」…石川県羽咋市役所職員・高野誠鮮(55歳)
農業の最大の欠陥は「自分の作った農作物に、自分で値段が付けられないこと」
役所の支援も補助金、交付金も不要というスタンスがいい。

一度「神子原 ローマ法皇」で検索してみてください。


石川県羽咋市神子原(みこはら)地区は、65歳以上の人口が過半数を占める限界集落
だったが、18年もの間、全く子供が生まれなかったこの地域に救世主が現れた。
羽咋市役所の一職員で、江戸時代から続く由緒ある地元の寺「妙法寺」の住職でもある、
高野誠鮮(55歳)だ。

公務員でありながら元テレビマンの高野は、町おこしで宇宙をテーマにした本格的博物館
「コスモアイル羽咋」をオープンさせるなど既存のルールを打ち破るアイデアを次々提案、
人口2万5000人の町に年間10万人を集客したが、周りの猛烈な反発を受けながらも、
地元を活性化するためなら行動する高野の持論は「人の役に立つから役人なのだ」。

高野は、役所では稟議書を回さずに企画の実現度を高め、入植者を積極的に受け入れるため、
住人たちによるユニークな面接を行い、石川米と呼ばれていた地元の米の名称を、神子原米
(みこはらまい)に改めブランド化した。また、「米は農協に売るもの」というのが農家の常識
だったところに、農家自身の手で販売するシステムを作り上げた。

そして「神子原」の「神子」にあやかって、なんと「ローマ法王」に献上、お墨付きを得て、
神子原米は通常の約2倍の価格ながら注文が殺到する人気を獲得するまでになった。

高野のおかげで若者が移住し、カフェが出来て人々が集い、賑わいを見せ、この地は
限界集落から脱することに成功した。現在、移住した35人全員が定住している。
また、農業に興味のある若者には、全国から学生などを招き、農作業・農家宿泊体験で
地域を活性化させるプロジェクト「烏帽子親農家制度」がある。

そんな高野のカリスマ性に惚れ込んだ若い入植者が、新しい農法を取り入れた米作りを
今まさに実践中で、高野は人工衛星を使って米の成分を解析しそれを生産者に提供、
競わせることでさらなる米の品質向上を目指している。神子原米で限界集落を蘇らせた
高野の次なる目標は、従来の米作りを根底からくつがえす、国連が認める世界農業遺産に
登録された「自然栽培農法」※を定着させることだ。
※自然栽培農法…その土地で収穫した稲藁・米ぬかだけを肥料にした完全無農薬の農法。

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