限界集落を救った「スーパー公務員」…石川県羽咋市役所職員・高野誠鮮(55歳)
農業の最大の欠陥は「自分の作った農作物に、自分で値段が付けられないこと」
役所の支援も補助金、交付金も不要というスタンスがいい。
一度「神子原 ローマ法皇」で検索してみてください。
石川県羽咋市神子原(みこはら)地区は、65歳以上の人口が過半数を占める限界集落
だったが、18年もの間、全く子供が生まれなかったこの地域に救世主が現れた。
羽咋市役所の一職員で、江戸時代から続く由緒ある地元の寺「妙法寺」の住職でもある、
高野誠鮮(55歳)だ。
公務員でありながら元テレビマンの高野は、町おこしで宇宙をテーマにした本格的博物館
「コスモアイル羽咋」をオープンさせるなど既存のルールを打ち破るアイデアを次々提案、
人口2万5000人の町に年間10万人を集客したが、周りの猛烈な反発を受けながらも、
地元を活性化するためなら行動する高野の持論は「人の役に立つから役人なのだ」。
高野は、役所では稟議書を回さずに企画の実現度を高め、入植者を積極的に受け入れるため、
住人たちによるユニークな面接を行い、石川米と呼ばれていた地元の米の名称を、神子原米
(みこはらまい)に改めブランド化した。また、「米は農協に売るもの」というのが農家の常識
だったところに、農家自身の手で販売するシステムを作り上げた。
そして「神子原」の「神子」にあやかって、なんと「ローマ法王」に献上、お墨付きを得て、
神子原米は通常の約2倍の価格ながら注文が殺到する人気を獲得するまでになった。
高野のおかげで若者が移住し、カフェが出来て人々が集い、賑わいを見せ、この地は
限界集落から脱することに成功した。現在、移住した35人全員が定住している。
また、農業に興味のある若者には、全国から学生などを招き、農作業・農家宿泊体験で
地域を活性化させるプロジェクト「烏帽子親農家制度」がある。
そんな高野のカリスマ性に惚れ込んだ若い入植者が、新しい農法を取り入れた米作りを
今まさに実践中で、高野は人工衛星を使って米の成分を解析しそれを生産者に提供、
競わせることでさらなる米の品質向上を目指している。神子原米で限界集落を蘇らせた
高野の次なる目標は、従来の米作りを根底からくつがえす、国連が認める世界農業遺産に
登録された「自然栽培農法」※を定着させることだ。
※自然栽培農法…その土地で収穫した稲藁・米ぬかだけを肥料にした完全無農薬の農法。
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