着地型観光の推進についてはこのような動きがあるので紹介したい 「地旅」ブランドで着地型旅行を推進する全旅(池田孝昭社長)は今年度、池田社長自らが本部長に就き地旅推進本部を立ち上げた。着地型旅行商品のANTA会員間取引を促すほか、全旅が提携する日本旅行、JR各社のネットワークを活用した商品流通を図る。課題とされてきた販売面にメスを入れ、売れる地旅づくりを本格化する。6月27日、積極的に着地型旅行を手掛けるANTA会員が大阪市内に集まり、流通促進の具体策を探った。 地旅推進本部は、地旅によるANTA会員の業容拡大と地域活性化を目的に掲げ発足した。特に地旅の販売に力を入れ、商談会の開催や地域間相互送客のコーディネートなどを事業として計画している。 本部とともに、事業の推進や全国のANTA会員への普及啓蒙活動を担うのが6月27日、大阪市内に集まった「地旅地域推進リーダー」。全国10地区から10人が選ばれ、この日が初めての会議だった。 会議の冒頭、池田本部長があいさつし「地旅に熱心に取り組む皆さんをリーダーとして選ばせていただきました。地旅で収益を得るということを示し、全国5600社のANTA会員が1社でも多く勝ち組としてやっていけるよう、各地域で引っ張っていってもらいたい」と訴えた。 また、着地型旅行の現状について「売れない要因の一つは、大手と違って仕入が弱いことです。手配センターがありません。着地型の販売は手配センターです。各県に手配センターを置かないといけません。全旅の営業所を手配センターと位置づけ、販売手配をして利益を上げることにつなげたいと思っています」と話し、協力を求めた。 意見交換会では、各自の取り組みや地旅の販売手法などについて話し合った。 商品づくりについて、地元の人間関係をベースに格安な宿泊プランを造成していることを例に「地元でしか成しえない内容、情報を目に見える形にする」(東北・佐藤さん)。「付加価値とは消費者、同業者が『買いたい』と思ってくれるか、どうかということ。見学地の羅列だけでは付加価値は生まれません」(大原さん)。一時各地で隆盛を極めた定期観光バスを着地型の先駆とした田中さんは「発地の条件を考えずに、着地側の理論だけで売ってきた。それが定期観光バスがダメになった理由だと思う。発地に合わせて焦点を絞る。総花的にドーンとやっても難しい」。 販売面については、地旅や着地型は「1人参加が非常に多いのが特徴」(石橋さん)で、個人客のマーケットインの商品づくりが求められると指摘。そのため「個人客は即答が求められます。しかし、我々にはそのオペレーションが存在しません。その中で、47都道府県に窓口があるのは我々の強み」(近藤さん)。全旅の営業所を活用すべきだとした。 着地型商品をネット販売している北海道の佐藤さんは、B2CだけではなくB2Bでもネットを利用するよう呼びかけた。東海の加藤さんの代理で出席した松見美砂さんは、犬山市で着地型旅行に取り組む中で名古屋港に寄港するクルーズ客船に着目。「犬山おもてなし隊」を結成しオプションツアーとして販売していることを話した。 行政の補助金を活用することについても意見が挙がった。鹿児島県の予算で「魅旅(みたび)」ブランドの創造に取り組む中間さんは「地域貢献の哲学が行政の支援を生じさせる」と指摘。岡田さんも「新選組ツアーなど着地型をやることで行政から認知された」とし、補助金活用も大切な地旅の手法だと一致した。 最後に、池田本部長は成功事例を生じさせるためにも会議の継続開催を訴え了承された。【地旅推進本部】
本部長=池田孝昭
副本部長=大原秀雄(全旅副社長)▽児島武(同)▽近藤幸二(全旅取締役旅行事業部長、協同組合岡山県旅行業協会理事長)地旅地域推進リーダー▽北海道地区=佐藤達雄(札幌航空旅行社長)▽東北地区=佐藤好徳(岩手県旅行業協同組合理事長)▽関東・京浜地区=石橋一男(エアポートトラベル社長)▽北信越地区=田中孝範(タナカ企画社長)▽東海地区=加藤広明(ツアー・ステーション社長)▽近畿地区=吉見精二(地域観光プロデュースセンター社長)、岡田榮(ツアーランド社長)▽中国地区=近藤幸二▽四国地区=吉本隆一(高知県旅行業協同組合)▽九州地区=中間幹夫(鹿児島県旅行業協同組合理事長)
以上、敬称略。
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