ほんま、宿泊事業者としては怒りがおさまらんだろう、でも中には気が付いていないハッピー野郎もいるからね。その人はある意味では幸せな方です。
~切込隊長は不在にしています~
ソーシャル時代のリクルート的なるもの、または情報産業の憂鬱(雑感)
良く逝く豚組オーナーの@hitoshi氏が嘆いていたので、なんだろうと思って良くみたら確かに嘆かわしい内容だったのでピックアップ。
豚組などの飲食店とホットペッパーなどの媒体との関係がどういうものであるかが整理されていて、そこだけでも一読の価値があろうかなあという雰囲気なんですけど、それ以上にリクルートが悪いというよりもソーシャルプラットフォームがこれだけ充実してくると、ユーザーを顧客にする情報をタンクする産業って異様に稼ぎづらくなってるんだなあと感じるところでもありまして。
以下は、完全な雑感です。
二つ視点が混在するのは許して欲しいんですけれども、無理矢理分けるとこんな感じ。
・ ユーザーはいつまでもイケスの中に居てくれなくなった
地下鉄の駅の出口で人を使ってでもメディアを配布して、一人でも多くの顧客候補をイケスの中に入れて、そのイケスに網を突っ込める特典つき割引クーポンで一人でも多くの顧客を店に送り込む、その集客コストが掲載料と割引クーポンの代金というのがひとつのモデルだったのでしょう。
リクルートの良さというのは効率を追及できる組織の強さと情報の扱い方の旨さだったと思うんですけれども、いまの現状でいうとユーザーがイケスの中でリクルートのサービスを使い続けてくれなくなってきているという別の綻びが出てきちゃっているのかなあと。
ましてや、そこそこイケてる店というのは豚組に限らずお客様とのコミュニケーションをそれなりの密度で取れるような工夫をしっかりしているし、それが再訪率の向上、ひいては利益率の増大に繋がるというのを良く分かっているので、うまい距離感で顧客に対して定期的な訪問を促す仕組みを作っているように思います。
当然、クチコミサイトもそうですけどイケスがイケスとして機能しなくなりかねない事態が起きうるわけですね。もちろん、いまだ大部分のユーザーはイケスの中に居るんでしょうが、イケスから店を選ぶ頻度がこれ以上は上がらなくなってくる。
その差分がどこに流れていっているのかというと、ひとつは単純に外食が減ったということ、もうひとつはソーシャル的な、より自然で商業主義的でない情報流通のほうで店舗取捨選択が行われるようになっているということ。豚組で起きた事例はFACEBOOKのチェックインでしたけれども、実際にはユーザーのほうで逝く店はある程度見繕ってても割引狙いで検索し直したりしてクーポンを印刷したりしてるんでしょうね。
・ ソーシャル的な情報流通に、リクルート的なる情報産業の流儀が合わない…のか?
たぶん、ホットペッパー側はこういう問題が起きるとはあんまり思ってなかったんだろうと。普通のインターネットサイトからFACEBOOKのようなソーシャルプラットフォームが出来たので、リクルートとしては情報の流通の大元から外されるとイケスが干上がるので、全力でFACEBOOKに釣り堀をこしらえたいのでしょう。
ただ、ソーシャル的な土壌というのは、誰かのために誰かが用意したというよりは、もっとカオスな誰かと誰かのコミュニケーションの集合体の中に旗を立てるような仕組みなので、イケスを作って「ここからここまでが、私たちの釣り堀ですよ」とはなかなかなりませんし。
イケスに一人でも多くの人を、一人でも多くの人のニーズを束ねて店へ集客を、という話である以上、ソーシャルのように店と直接コンタクトを取ったり常連がいるかどうか調べたりという流儀とはやはり根本的に合わないのでしょう。逆に、よりマスに訴求するような大衆店ではユーザーは隣り合って食ってる牛丼の味の良し悪しなどコミュニケートしたいとは思わないでしょうから、引き続きビジネスにはなるんだろうとは思いますが。
でもやっぱり、ある程度まともな店というのは客の客の釣り上げ方を凄く考える人たちだと思うので、昔ながらの情報落差と集約で儲ける類の方法論とはなかなか相容れないのでしょう。
・ ただし、常連になるなど繰り返し利用する客を店が「もてなし」できないと動機を失って客が離れる
私なんかは落ち着きを優先するので、別にクーポンなんか貰わんでも豚組を利用します。というか、ここの地点に立ち寄ったらこの店、というのが出来る機会が多い分、私は結構贔屓にした店に顔を覚えられて、そのあまりの客単価の低さに嫌な顔をされるのが通常であります。ワインとか高い酒は開けないし、油っぽいのが嫌いだし、胃が大きくないのであんまり頼まないし、珍味食べないし長居をするし、まあ店からすると喜ばれない客でありますね。
私のことはどうでもいい。
でもバーゲンハンター気味にクーポンがあるからその店を訪れてみようという客は、まあ私の周りにも多いんですけど、あんまりリピートしないんですよね。二度目、何の割引もなしにその店へ逝く動機が薄れるだろうから。
だから、リピート率を考えて良い客が滞留してくれるだろうという期待値と、バーゲンハントだけど来客できて落としてくれるお金の平均値と割引率があって、どういう割引をするとどんな客が来てどれだけの再訪率があるのかという視点で考えると、こんにちのクーポンのあり方というのは誰にとってもあまり得しない仕組みになってきちゃったんじゃないのか、という勝手な仮説を考えてしまいますね。
割り引いて集客してもろくに再訪しない客しか来ない、ならばイケスがどんなに広くても小さな割引しかないクーポンしか出さない、という店と、どんな客でも来て欲しい、魅力的な割引を出して毎回クーポン目当てに来てくれる人でも大歓迎だからじゃんじゃか来て頂戴という店とに、いままで以上に分かれていくんでしょうね。
でも安かろう悪かろうの店は、立ち寄るぐらいならみんな宅飲みしちゃうんだよね、最近。
・ 本来はこっちが問題なんだろうなあと感じる部分について
[引用]そもそも、ホットペッパーは、集客には全く寄与していません。単に、最後の最後に「クーポン」を出すときに突然登場するだけで、営業的には何も貢献していないのですね。
飲食店に限らず、就職支援でも結婚でも賃貸住宅でも同じなんだろうと思いますが、飲食店のほうが頻度が高くサイクルが速いので露顕しやすい部分として、「ユーザーは実は賢い」ってのがあると感じています。
クーポンサイトが乱立したときにネットユーザーならずとも皆すぐ思ったのは、バーゲンハントする暇で貧乏な人たちって実はすんごい多かったんだなあということでしょう。80%オフで寿司が喰えるとなったら、やっぱりそれはそれで凄いことになるわけですよ。
同様に、従来型のクーポンも、本来は逝く店が決まっていても割引を狙うためにサイトで検索し直してクーポンをゲットするなんて当たり前の行動様式ですわね。ドリンク一杯程度の割引であれば普通にコースを喰ってくれる客が呼べればペイするんでしょうが。
もうここまでユーザーが賢くなり始めると、本当に会員制の割引サイトみたいに「この費用でこの人数と客単価とリピート率が釣れた」と確定させられるような方法論でない限りはクーポンは立ち行かないのではないかと思います。あるいは、店側がいつまでも馬鹿であるならば、いつまでも儲からない割引クーポンを用意し続けてくれるんでしょうが。
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